調査によれば、アジア女性に最も多い体型は梨形で、上半身は細く下半身はややふっくらしています。先天的な要因のほか、後天的な習慣も深く影響します。いわゆる「偽膝幅(假胯寬)」とは、長時間の座り姿勢や運動不足、不適切な歩行姿勢などで大腿部の幅が下がり、身体の最も広い部分が臀部〜腿の位置に移動し、腰骨が横に張って幅広で低く見える状態を指します。後天的に形成された姿勢は運動で矯正できますが、先天的な骨格は変えられません。だからこそ『服を着る技術』で長所を伸ばし短所を隠し、上下の比率のずれをぼかして全体を均整のとれたシルエットに見せる必要があります。

偽膝幅で悩ましいのはヒップが広くて平らに見える点です。柔らかくなびく素材のパンツやスカートはむしろヒップラインを強調してしまうため、ハリのある素材を選ぶのが有効です。またデニムは高い伸縮性のある素材を避けたほうがよく、そうした素材はヒップを大きく見せがちです。ややしっかりとした厚みのあるハリのある素材は、補正下着のようにヒップと腿の肉を引き締めて見せ、整える効果があります。

Aラインの傘形スカートやワイドストレートのパンツは、梨形体型(偽膝幅)に最適の相手です。この二つのシルエットはいずれもヒップや腿のラインをうまくぼかしてくれます。先に述べたようにハリのある素材はヒップラインをぼかしますが、Aラインの傘形スカートの場合は特に素材のハリを強調する必要はありません。ハリが強すぎると下半身のボリュームが増して見えてしまう可能性があるためです。
ワイドストレートは必ずしも下半身の服だけを指すわけではありません。上半身にワイドストレートを取り入れる、たとえばボックスシルエットのアウターや箱型のワンピースを選ぶことで下半身の広がりをバランスさせることができます。上半身のボリュームを増やして肩と腰の比率を広げることで、下半身の重さが目立たなくなり視覚的に調和が取れます。近年流行の繭型パンツ/スカートも参考になり、幅のあるパンツはヒップが大きいのではなく「パンツが広い」錯覚を作り、結果的にヒップラインをぼかすのがポイントです。

ワンサイズ上のパンツを選ぶことも梨形体型(偽膝幅)の重要なテクニックです。パンツのサイズは多くの場合ウエストで判断しますが、梨形体型はウエストが細くヒップが広いことが多く、SサイズのウエストがMサイズのヒップと一致するため、Sが履けてもMを選ぶことをおすすめします。ポイントはヒップ・腿部分にほどよい「ゆとり感」を確保すること。そうすることで腰回りに食い込みや皺ができず、ヒップが大きく見えるのを防げます。多くの場合、問題はヒップ幅ではなくウエストが細すぎることなので、ウエストだけでサイズを選ばないようにし、ウエストとヒップの比率も考慮しましょう。下半身が長すぎることを心配する人もいますが、ロング丈のアイテムは下半身を縦に伸ばして脚を長く見せる効果があり、梨形体型の補正には有効な小技です。

梨形体型(偽膝幅)は骨盤が下がって見えるため、上下の比率が半々(五五身)に見える悩みが出やすいです。そこでミッド〜ハイウエストのボトムを選ぶと下半身の視覚的な延長効果が得られ、下半身を長く見せることができます。これはロングアイテムを選ぶ理屈と同じです。また、ウエストラインがそのままパンツの身頃と一直線になっていて、ウエストが内側へ絞られていないデザインのパンツは、腰回りを目立たなくするため梨形体型に向いています。こうしたパンツは偽膝幅の人のファーストチョイスになり得ます。

暗色は引き締め効果、明色は膨張効果という原則を活用し、ダークカラーのボトムにライトカラーのトップスを合わせることをおすすめします。これにより腰まわりの広がりを巧妙に隠し、上半身に視覚的な重心を置くことで全体を均整の取れた自然なシルエットに整えます。これらの『服を着る技術』を身に付ければ、梨形体型でもすっきりとした細長い印象をつくることができます。スタイルとは、自分に最も合う服の哲学を見つけ、長所を大きく見せて短所をぼかすこと。生まれつき完璧である必要はありません。
